alone in the night

In the dark, in the quiet.

book: 何もかも憂鬱な夜に

日本人作家の小説はあまり好きではなく、まず読まないのだが、又吉の「第二図書係補佐」で紹介されていたのを思い出して読むことにした。

ちなみに「香水」も図書係補佐きっかけで知った。

 

dusktwilight.hatenadiary.com

 

読む前は死刑制度に切り込む話かと思っていたのだがいうほどではなかった。20歳の死刑囚・山井は登場人物の1人でしかなく、決して主人公の相手役というほどではなかった。ただ何故この事件が死刑でこの事件は有期刑なのか、という下りはあった。

主人公からしてセ○クスに頭もっていかすぎていない?ちょっと気持ち悪い。いじめられっこかと思いきや生きてたらいけない邪悪な存在だった佐久間にせよ山井にせよ、恵子とどうこうとノートに書いていた真下も。自殺して主人公にあのノートを送りつけるのちょっと逸脱してる、と思ったけど主人公もいろいろおかしいからお似合いなのかもしれない。あと父親による母親殺しのシーンはよくわからない。

佐久間の話はほんとうに胸くそ悪いのだが、主人公もいくら情が移ったってダメなものはダメ、と仕事と感情を切り離すべきではあった。他人には自分の知らない面がある。いじめられている弱気な雑役夫と嘘吐きで狡猾で卑怯な性犯罪者は平気で両立しえる。

施設長や主任などまともな人もいる。主人公を気に掛けて不祥事を起こしても穏便に済ませてくれる主任はけっこう好きだった。