ハイチが舞台の小説を読むのは初めてだった。作者がハイチ系アメリカ人とのこと。
2部構成で、1部ごとに4章の短編が入っていて、町の人々の群像劇が描かれている。タイトルは主人公クレア・リミエ・ランメ・フォースティンの名前で、ハイチクレオール語でリミエは光、ランメは海を意味する。
両親ともに海好きで、出産で亡くなったクレアの母親(名前は同じくクレア)が生まれてくる子が女の子なら海の光のクレア、男の子だったら海の光のノジアスという名前にしようと言ったために付けられた。キラキラネームにならないのか勝手に心配。
よりよい生活を求め出稼ぎに行く故に娘を養子にやらねばならないシングルファザー・ノジアスや、ノジアスをはじめとする文字の読み書きも出来ない人々に私は半世紀ほど前の物語だと勘違いしていたが本作品は現代ハイチの田舎を舞台にしており、後進国の現実を小説を通して思い知った。
小学校に通う7歳のクレアは父ノジアスが出稼ぎに行くため夫と子を亡くした裕福なマダム・ガエルの養子になることが決まったが荷物を取りに行ったきり行方が分からなくなってしまう話。やっぱり戻らなきゃ!というところで物語は終わる。
クレアが主人公らしいのだが一切出てこない章もある。
以下散文
- マダム・ガエルが死んだ蛙を食べたシーンはただ気持ち悪かった。
- やっても居ない殺人で捕まり釈放されたら射殺されるバーナードが不憫でならない。復讐したいのはわかるがちゃんと調査してからにしようねマダム。
- クレアが生まれる3年前に亡くなるバーナードの話は町の貧しさや治安の悪さを描写するために挿入されたのだろうか。このほかにも町の治安の悪さは所々描写されていた。
- ローエンを殺害したのは焼き殺された2人かな。金目当ての犯行だったのだろうか。
- アーディン校校長父子がとにかくクズで見ていられなかった。第2部『ディ・ムエン、私に話して』でルイーズにいてこまされるけど正直あれじゃあ足りない。その後の描写も無いし。もっとやれルイーズ。
- 他人を使って誰かをいてこませるシニアはクソすぎる。下半身も無節操だし嫌な権力者だし。アンリは他の生徒の勉学の妨害になるからさっさと放校処分にしろよ。母親もただのモンペで、生徒に手を出したのはいけなかったけどもルイーズが気の毒だった。この親にしてこの子あり。
- ジュニアは教育の敗北か?フローレが成功していて良かった。
- 経血が口から出るってあり得るの?
- クレアがなんとなく戻りたくなくて、逃亡者としてのあり得ない生活を妄想するのはわかる。ノジアスはたまに戻ってくるだろうし、お金が貯まればまた2人で暮らせるかもしれないよね。