alone in the night

In the dark, in the quiet.

movie:チョコレートドーナツ

79年のアメリカで、ゲイバーのパフォーマーと検察官が恋に落ち、パフォーマーの隣人のダウン症の息子を養子にしようとするが迫害に遭う映画。結末を大筋で知っていたから息子が人形を片手に1人夜の街を徘徊するシーンを見ても泣かずにすんだ。

 

2人を子供の親として見る養護学校の先生などまともな人が居たことと、検察官をクビになり、息子を失い、最終的に息子は家(母親と過ごした家ではなくゲイカップルと過ごした家を指す)を探して衰弱死しても2人が別れはしなかったこと、どこかで未来を見ていることが救いだった。あとパフォーマーが憧れていたシンガーの夢を叶えた点はとてもよかった。

 

ハロウィーンでの女装は言いがかりだし、人形は2人と出会う前からお気に入りだったし、こじつけでとにかく子供をゲイカップルから引き離そうとする人たちが悲しかった。みんな実の親に恵まれないダウン症の子供のことなどどうでもよくて、ただゲイが一人前に堂々と表で幸せになっていることに腹を立てていただけのような気がする。年老いた裁判長と思しき女性は少し考えを変えていたようにも見えたけど。

 

検察官の上司は元々部下が嫌いで蹴落としたかったのか、あるいはゲイだと知って部下が汚い物にしか見えなくなったのかわからないけれど、クビにしたあげくダウン症の子供を育てられないことが明らかな母親に仮釈放を餌に再び養育させるのは酷すぎる。整った環境深い愛情を備えたゲイカップルよりネグレクトで薬物中毒の実の母親のほうを法律は優先することがむなしかった。

クビにした部下は自暴自棄にならずに息子と暮らすために戦い続けたし、自らの汚い行動による最大の被害者は迫害相手の部下ではなく面識も無い小さな子供という悲劇。