alone in the night

In the dark, in the quiet.

book:悪貨

冒頭のホームレス・里中は、何も自殺しなくとも普通に福祉の手を借りれなかったのだろうか。大損失を被ったであろうガソリンスタンドとベンツの持ち主かわいそう。

静岡の農家・金森も福祉の手を借りれなかったのだろうか。勿論そのような余裕が国や自治体にはないという背景はわかるけども、生活保護を受けている人はその時にもいたのだから。

諸悪の根源がそう都合よく現れて素性を明かすわけもないのにどうして金森はあえて同じ場所に居座り続けたのだろう。事実野々宮が現れても当然偽札置いた本人ですなんて名乗らなかった(名乗れなかった)わけだし。

そもそも金森がホームレス堕ちしていたことに愕然とした。野々宮のせいで誰も彼もが不幸になり迷惑を被っている描写のためとはいえ、つらい。モエはどうしているのだろう。そして冒頭のシーンから2年経過していたのだな。

 

バカ男二人組の金は怪しいと判断したキャバクラオーナー・金城はモエにその金を丸々渡して損もせずお咎めもなしかよ。暴力団のくせに。そこは腹立たしい。

バカ男コンビの描写は生理的に受け付けなくて本当に無理だったので再登場がなくて良かった。あの2人本当に軽薄で気持ち悪い。それこそ死刑でいい。

バカは死なないと治らない。関わり合いになりたくないタイプ。

 

池尻もそんなに野々宮が大事なら野々宮が十数年前に消息を絶った時点で探しだしていれば良かったのでは?野々宮も池尻のもとに帰っていればよかった。そうしたら郭解と出会うことすらなかった(物語も始まらないが)。

 

潜入捜査官は場合によっては潜入先でセックスまでしないといけないの?キツいな。ゴムしてくれたのかなとかいちいち考えてしまう。なんせBL漫画にもゴムつけてないと萎えてしまうタイプなので…

たとえどんなに魅力的でも潜入先の人物にマジになった時点でエリカは潜入捜査官としては不適格では。終盤は自宅謹慎中に家を出たあげく野々宮に全財産を貢ごうとまでするし。警察側にバレてたけど。

だが野々宮もある程度マジになってたから結果オーライなのか?

 

後藤を守ってくれると信じていたフクロウは憤り警察には二度と協力しないとのことだが、後藤は起訴されたとはいえ、野々宮の末路を鑑みるととても幸運に思える。中国で逮捕されたり暗殺されるより日本の刑務所にいた方が安全だ。

勿論後藤の人生とは何だったのかと考えると虚しいが、それは野々宮や池尻、脇役のホームレスたちと同じことのように思える。燕燕もいずれ逮捕されるだろうし鉄幹もいつまでも安泰ではない気がする。

あとフクロウの本職は何だろう。

 

野々宮が日本に逃げるところまでは分かる。中国で捕まったら即死刑なのは目に見えている。だが偽パスポートで日本に来てからの行動がよくわからない。日本でも追われている身なのは分かっていたのにどうしてカードや銀行口座の凍結等が念頭に無かったのだろう。旅館貸切で現金払いだなんて、その後自殺するつもりでも無い限りあり得ない行動では。

 

結局政府の保身のために諸悪の根元は野放し、経済も悪くなるまま。野々宮が日本の警察に捕まっていても真実は闇に葬られただろうし、そもそも郭解側も証拠隠滅を済ませているので、逮捕されてればよかったのにとも思えない。

しかも野々宮が良かれと思ってやっていたことは結果大勢の人間を苦しめていて、それを思い知るどころかそのツケが回ってきて誰からも見放され追い詰められる。鉄幹が池尻の最期の言葉を野々宮に伝えなかったのはわざとだな。すぐに伝えていればその後の野々宮の行動はまた違ったものになったかもしれないと思うと酷い話だ。

 

最後野々宮は東京湾に沈められたが、エリカは野々宮が「ヨーロッパへ逃げ仰せた」と思っていることが救いのような気がする。虚しい救いだが。