alone in the night

In the dark, in the quiet.

book:東電OL事件 DNAが暴いた闇

東電OL事件と聞けば被害者について描写された作品が多い。私にとって事件は彼女の存在が世間に明るみになるきっかけに過ぎなかった。容疑者には一切興味がなく、彼女や彼女のような社会的に地位を持っていながら体を売る女性たちに興味を示していた。なんでそんなことするんだろうって。

 

だが本事件は冤罪事件でもあり、そのため当然事件としても多くの人に関心を持たれるべき話だと思った。本事件を容疑者のバックヤードや再審までを追った本書は初めて見る視点で新鮮だった。

 

被害者体内の精液のDNAってかなり重大な鑑定対象だろうに捜査段階で鑑定していなかった。そもそも採取されたものは一応全て鑑定に回すものだと思っていた。

再審請求において鑑定しなかった精液や唾液を鑑定した結果、捜査線上に浮上しない第三者、おそらく真犯人のものだった。

真犯人も外国人で帰国していたらもうこの事件は事実上迷宮入りだ。警察の怠慢と思い込みに容疑者がついた嘘が加わって迷宮入り事件を作ってしまった。

ただ、いくら単身で外国に出稼ぎに行っているとはいえ、さらにお互い恋愛感情がない買春行為としても、妻子持ちの男性が他の女性と関係を持ったことに嫌悪感をおぼえた。またはじめ被害者女性と面識がないと嘘をついていたことは心証が悪かっただろう。あと同居人にも言えるが不法滞在はダメでしょう。

 

また容疑者の同居人たちが警察から仕事のあっせんを受けたり食事をおごってもらったりしたという供述があり警察関係者が全否定をしていないのだけどこれが事実なら問題では?もっと大きな問題になってもいいと思うのだけど。

 

ネパールは貧しい国で、先進国に出稼ぎに行き稼いだ金で祖国に家を建て家賃収入で暮らすことを夢見る人が多いそうだ。容疑者もその一人だった。多くの日本人にとってネパールはアメリカや西ヨーロッパと比較してさほどメジャーな国ではないように思うのだが、その割にはネパールレストランは結構な頻度で見かけるけどそういうことだったんだな。