alone in the night

In the dark, in the quiet.

book: 揺らぐ街

あらすじを書いていなかったがジャケ買いならぬジャケ借りをした。夜の東京の夜景、東京タワーが煌々と輝いている写真にいうほど惹かれたわけではないけど。同時に借りた海外小説の表紙絵の方がキレイ。

 

まずタイトル。(地震で)揺らぐ街だった。それ以外にも深い意味があったのかもしれないけど、

 

文芸雑誌編集者である山下は大震災を機に、消えた作家・武山を思い出す。武山は被災地出身で、生活がうまくいかずデビュー作こっきりで小説の世界から姿を消してしまっていた。被災地出身である武山を引っ張り出して本を書いてもらう話が浮上したこともあり主人公は仲のいい作家・桜城と共に被災地へ赴きどうにか武山と再会して、消えた作家は再び筆を執る。

 

という話からそれ以上の意味合いを私は見いだせなかった。ただタイトルに変な重みは無い方がいいと思っているので(深い意味やらダブルミーニングやらはとにかくサムい)、別にいいのだけど笑ってしまった。

関係ない世界に居ると知ることの無い文壇の事情などがたくさん知れた。現代日本、リアルな世界を舞台にした小説は面白い。恋愛要素は苦手なので、山下と元カレがよりを戻すみたいな気持ち悪い展開が一切なくてよかった。

働きながら執筆するって大変だ。しかもマイペースではない。武山が、僕は震災を利用する、犠牲者を踏みしだきながらペンをとる、と言っていた。たしかに震災なくして武山の再起は無かったのだが、私は武山に不快感はなくさらっと読めた。武山が殺した訳じゃないし、自分に酔っているわけでもない。

 

桜城さんの新作がいうほど売れなかったけど、桜城さんがスランプから脱出できたのならそれ以上のものは求めなくて良いと思う。武山との再会シーンでの桜城さんはかなりウザくみえたけど笑、でもあそこまで言ってくれる人はなかなかいない。根っからの小説家なんだな。