alone in the night

In the dark, in the quiet.

new word

英単語

  • pimp (n) ヒモ;ポン引き

その他

  • ガレー船 人力でオールを漕いで進む軍艦。罪人が罰として水夫をすることになっていた。
  • マレフィキウムmaleficium) 呪文や魔術で人々に被害を与えること。
  • お歴々 地位の高い人の集まりを指す。
  • 冥加金みょうがきん> ①神仏の加護に対する謝礼金。社寺に奉納する。②江戸時代の税金の一。営業税。
  • ブーゲンビリア 熱帯性の低木。初夏~秋に開花。
  • 猖獗しょうけつ> 悪い物事がはびこり猛威を振るうこと。ex. 流行病が猖獗を極める
  • 畸形きけい 生物体において、一般とは異なる形を持っているもの。
  • 巾着切り スリ。すれ違いざまに他人の懐中物(かいちゅうもの、ポケットの中にいれている財布など)をすりとる者。
  • 吝嗇りんしょく> けち。
  • 桎梏しっこく> 自由を束縛するもの。手枷足枷。

book: はるかなる岸辺

5章に分かれている長い小説だった。頻繁に場面が変わるので注意して読まないと訳が分からなくなった。1行空いたと思ったらその先は回想の続きが始まっていたり。ろくでもない人物が脇にわらわらいた。

 

舞台はイングランドの田舎。教職を早期退職し1人で暮らすドロシーの話。

お洒落なヨーロッパの田舎の情景が頭に浮かんだ。ただし車社会なので不便。ソロモンの話し方が落ち着いていて、不器用な優しさが覗いていた。

ドロシー父は典型的な前時代のオッサンなんだろうな。介護してくれていた助産師さんは本当にご苦労だった。母も頼りにはならなさそうだし、シーラが家を出たのもうなずける。

 

ガブリエルという名前の人物の話。舞台はアフリカ~ヨーロッパ。

ガブリエルは亡命するために2000ドルが必要と叔父に言われ、元雇用主のフェリックスを殺害して金銭を奪う。2000ドルに達していなかったけど叔父と亡命できたのだが、強盗殺人シーンが嫌いな私はこの時点でガブリエルに何があっても同情できないと思った。金銭・快楽目的の殺人や、そうでなくても殺さなくてもいいのに殺すシーンが私は大嫌いで、ここもフェリックスとその命を軽視しているように見えた。だが後になってガブリエルは夢でフェリックスが出てきて、後悔し苛まれていることがうかがえたので嫌悪感は緩和された。

亡命の旅路&亡命前の軍隊時代の話で沢山の登場人物が出てくるのだが、結局最後は1人。一瞬だけ出てきたエマニュエルだったかいう金パクリマン嫌い。

純粋な読者なので、最後ガブリエル=ソロモンだと発覚して「そういうことか~!」と驚いていた。

 

またドロシーの話。ドロシーはつくづく男運が無い。ブライアンはあまりにも身勝手。雑貨屋マハムードはただのクズで妻共々下層臭くてろくでもないし、臨時の地理教師ジェフの被害者面はキッツい。ドロシーのコンプライアンス違反があったとはいえ、地理教師が学校に必要だからと校長はドロシーだけを追い出す。ドロシーがジェフの妻に電話を掛けたりジェフに手紙を書くことは問題でも、不倫は問題じゃないんだね。

とはいえマハムードやジェフを既婚者と知っていて関係を持つドロシーもどうかと思う。寂しかったのだろうことはなんとなくわかる。両親も死に、シーラはガンで早世してしまう。

強盗被害に遭ったシーラが犯人を訴えなかったのは訴えたって何も変わらないから?何も変わらないのならとりあえず訴えればいいだろうけどそんな元気も無かったのだろうな。犯人に反省の色なく、結局お金も何も返して貰えなかった。

シーラも昔彼氏を捨てたとはいえ、その後に交際したマリアはシーラを捨てて男と一緒になっているにもかかわらず、『こんなことになって悲しい』というのは訳が分からなかったし、葬式の後に2人でやってくる神経もわからなかった。

 

Ⅳ、Ⅴ

舞台はイングランド、ガブリエルがソロモンになった後の話(Ⅱの続き)と、Ⅰの続きの話。亡命仲間の消息が不明な中マイクやアンダーソン夫妻に恵まれたソロモンは幸せ者だと思うが、一方デニーズに手を出していたことが判明してガッカリした。てめえクロじゃねーか。Ⅱで「眠っただけ、何もしていない」との発言を信じちゃってたから…。毒親に捕まったデニーズはどうなっただろう。証言もしたくないのはわかる。自分も責められるから。

 

はじめはで謂われなき差別に遭う物静かな黒人だったソロモンが、章を追うごとに結構やらかしていると判明して幻滅するなどしたが、最期はイングランドの田舎のヤンキーに、ソロモン=ガブリエルのその背景を知らずにただ肌の色で色々決めつけて迫害しているだけの人々に殺されて終わり、というのは呆気なかった。ドロシーもソロモンの背景を一切知らないけれど、迫害なんかしない。

ドロシーもいよいよ精神病院に入院してしまう。ドロシーは気を揉んでいたがソロモンに家族はもう居ない。妻に捨てられたブライアンが今更のように見舞いに来ていたけれど、ドロシーにも家族は居ない。

book: 揺らぐ街

あらすじを書いていなかったがジャケ買いならぬジャケ借りをした。夜の東京の夜景、東京タワーが煌々と輝いている写真にいうほど惹かれたわけではないけど。同時に借りた海外小説の表紙絵の方がキレイ。

 

まずタイトル。(地震で)揺らぐ街だった。それ以外にも深い意味があったのかもしれないけど、

 

文芸雑誌編集者である山下は大震災を機に、消えた作家・武山を思い出す。武山は被災地出身で、生活がうまくいかずデビュー作こっきりで小説の世界から姿を消してしまっていた。被災地出身である武山を引っ張り出して本を書いてもらう話が浮上したこともあり主人公は仲のいい作家・桜城と共に被災地へ赴きどうにか武山と再会して、消えた作家は再び筆を執る。

 

という話からそれ以上の意味合いを私は見いだせなかった。ただタイトルに変な重みは無い方がいいと思っているので(深い意味やらダブルミーニングやらはとにかくサムい)、別にいいのだけど笑ってしまった。

関係ない世界に居ると知ることの無い文壇の事情などがたくさん知れた。現代日本、リアルな世界を舞台にした小説は面白い。恋愛要素は苦手なので、山下と元カレがよりを戻すみたいな気持ち悪い展開が一切なくてよかった。

働きながら執筆するって大変だ。しかもマイペースではない。武山が、僕は震災を利用する、犠牲者を踏みしだきながらペンをとる、と言っていた。たしかに震災なくして武山の再起は無かったのだが、私は武山に不快感はなくさらっと読めた。武山が殺した訳じゃないし、自分に酔っているわけでもない。

 

桜城さんの新作がいうほど売れなかったけど、桜城さんがスランプから脱出できたのならそれ以上のものは求めなくて良いと思う。武山との再会シーンでの桜城さんはかなりウザくみえたけど笑、でもあそこまで言ってくれる人はなかなかいない。根っからの小説家なんだな。

book: おやすみの歌が消えて

原題は「ONLY CHILD」。2年前に刊行された長編小説。小学校での銃撃事件で息子アンディを喪った母メリッサは、現場で射殺された犯人の両親を責め続け訴えようとする。アンディの弟であり語り手、主人公であるザックは小学校へなかなか登校できずにいて、アンディのクロゼットを秘密基地としてそこへ籠もっては感情を色紙で表し、お気に入りの本をアンディに読み聞かせる。

赤といえば怒りが連想されるのだがザックは恥ずかしさを割り当てていた。怒りは緑だ。共感は「やさしい気持ち」だからと、白で表しているところにセンスを感じた。またチャームをくれた担任や家に泊めてくれたりなど懇意に世話してくれたメアリーなど、ザックは周りに恵まれていると思った。

 

アンディが決して「いいお兄ちゃん」では無かった点が良い。学校の成績は良かったが反抗挑戦性障害(ODD)という障害持ちでよくメリッサを困らせていたりザックを馬鹿にしていた。葬式でアンディをまるで利発的な子供だったかのように話す父ジムに「ちゃんとアンディにさよならを言ったことにはならない」とザックが疑念を抱くシーンが気に入ってる。

 

恐らく障害があった犯人に適切な治療を受けさせなかったから銃撃事件が起きたのだと、メリッサは犯人の両親を訴えることにするとメディアのインタビューを受ける。事件を風化させないためにもと意気込んでいたが、どんな凄惨な事件でも関係ない他者はどうしても忘れてしまう。誰が忘れてしまっても、両親やザックが事件やアンディのことをいつまでも覚えていたらそれでいいと思う。

 

メディアに出たメリッサは犯人の両親の過失を訴えたものの、事件2ヶ月後に行われた追悼式で犯人の母親を見つけてしまい怒りが抑えられなくてつい公衆の面前で罵倒してしまう。その様子もまたカメラに回っていた。メディアは遺族の味方では無い。(誰もそんなバカなこと考えていなかったけども)。久しぶりに登校したザックは教室で嘔吐した挙げ句保健室で上級生にメリッサの悪口を言われてしまう。

しかもメディアは夜の墓地へ出向いては毎晩現場で射殺された息子の墓を訪れる犯人の父親チャーリーにまでインタビューしようとする。チャーリーは小学校の警備員でザックの親友で、ザックはチャーリーもまた息子を喪った悲しみに沈んでいることを知っていた。この加害者遺族を追うマスゴミ報道のおかげでザックはチャーリーに再会できて、結果的にこの物語は良い方向に進む。

 

ただ1点、ブルックス母子の話は好きでは無い。6歳のザックの視点で物語の全てが進むので語られることは無いが、ジムはナンシーと過去不倫関係にあったのではないだろうか。もしかすると銃撃事件で亡くなったリッキーもジムの子かもしれない。たった1人の家族リッキーを喪い、すがったジムには相手して貰えず、みるみる窶れ、ついにナンシーは謝肉祭の日に自殺してしまう。メリッサは謝肉祭に招待しなかったからだ!と落ち込むが、ナンシーがジムにあてた手紙を見つけて「私ってなんてバカだったの」と笑い、以降母子への言及はない。チャーリー夫妻やザックの一家は喪った人を胸に前を向き始めて物語は終わるが、この母子だけは2人とも死んで終わりなのだ。

book: 何もかも憂鬱な夜に

日本人作家の小説はあまり好きではなく、まず読まないのだが、又吉の「第二図書係補佐」で紹介されていたのを思い出して読むことにした。

ちなみに「香水」も図書係補佐きっかけで知った。

 

dusktwilight.hatenadiary.com

 

読む前は死刑制度に切り込む話かと思っていたのだがいうほどではなかった。20歳の死刑囚・山井は登場人物の1人でしかなく、決して主人公の相手役というほどではなかった。ただ何故この事件が死刑でこの事件は有期刑なのか、という下りはあった。

主人公からしてセ○クスに頭もっていかすぎていない?ちょっと気持ち悪い。いじめられっこかと思いきや生きてたらいけない邪悪な存在だった佐久間にせよ山井にせよ、恵子とどうこうとノートに書いていた真下も。自殺して主人公にあのノートを送りつけるのちょっと逸脱してる、と思ったけど主人公もいろいろおかしいからお似合いなのかもしれない。あと父親による母親殺しのシーンはよくわからない。

佐久間の話はほんとうに胸くそ悪いのだが、主人公もいくら情が移ったってダメなものはダメ、と仕事と感情を切り離すべきではあった。他人には自分の知らない面がある。いじめられている弱気な雑役夫と嘘吐きで狡猾で卑怯な性犯罪者は平気で両立しえる。

施設長や主任などまともな人もいる。主人公を気に掛けて不祥事を起こしても穏便に済ませてくれる主任はけっこう好きだった。

 

comic: ギフト±(16-18巻)

勿論~15巻も既読。青年誌掲載かつベテランの作家だからか話の質が良い。最新19巻以降は未読だがぜひ全て読みたい。

以下、語彙力皆無な感想箇条書き。

 

  • 楊亮ちょっとかわいそう。

あのジャーナリスト、ずっと初期から東京湾に浮かんだとだけ描写されていたけどまさか生きていたとは(純粋な読者)。がっつり悪役だし。腹立つのでクジラにしてください(乱暴)。

でも、まほちゃんをはじめ罪の無い高校生の虐殺は許されるものでは無いし、リュウの再三の忠告も聞かなかったし自業自得である。リュウも加藤も楊をクジラにはしないように苦心したけど環にはそんなの関係ないしなあ、そもそも何も聞いていないし。

学校を襲撃し、自分が過ごせなかった平穏な日々を当然のように享受する子供達に逆恨み?して虐殺していく楊を、若い頃の楊が「罪のない子を殺して 今度はお前が奪われる側だ」と語るシーンが好き。罪の意識というか、こんなこと(虐殺)をしておいて自分が何も無く助かると思うなよ、と楊自身が理解していてすごく好き(語彙力)。そしてその通り助からないどころかクジラになるからとても良い。

 

  • 桜田さんは本作の良心。

阿藤の亡霊?が出てきて「幸せになってくれ」と語りかけるシーンにはジーンときた。阿藤の死は桜田さんがプティシャトン絡みに関わるきっかけなのだが、そのきっかけの阿藤を加藤、桜田さん、阿藤と面識のないはずの廣瀬まで巻き込んで描写しつづけていて、桜田さんの行動を通してただのきっかけに終わらせていないのが良い。阿藤の遺志は最後まで受け継ぎ、大陸も巻き込んだ大きな闇に、普通だったはずの一刑事が立ち向かう姿はまさに本作の正義で良心。

 

 

骨格おかしかったし、アイリンが男だろうことは察していたが、どうして女装させているんだろう。ソウの趣味?笑

クラスメートに人殺しと詰られ殴られて環が仕事の出来ない状態になってしまうのだが、どんどん人間になっている証拠だよね。クジラでも何でも無い人をお前が殺したと言われて普通ではいられない、人間だからだよね。仕事が出来なくなったが為にソウからアイリンが送られてくるけど、崇も環も大丈夫かな。加藤は大陸を危惧していたけど、崇はどう判断し動くだろう。

加藤が秋光正の真の目的を知ってしまい、瀕死の中で18巻は終わる。物語も佳境で、多分加藤は死ぬだろうけれど、そこまでにどのような展開があるのか気になりすぎる。

book:香水 ある人殺しの物語

1985年に発表された本作はベストセラーということなのでとりあえず読んでみたが、正直私には合わなかった。匂いがどうの香水の調合がどうのという至る所に登場する主要な描写がつまらなく感じてしまったし、それ故多分理解してない箇所も多いだろう。娘殺しで捕まった男とどうみても同じ人物なのに”匂いで魅了されて”別人!無罪!という世界観を<そういう世界なのね>と納得出来なかった。そういう世界で物語の全てが進んでいるのに。

 

皮なめしの親方やバルディーニに侯爵、さらにラストシーンの時点(1767年)で死んでもいないマダム・ガイヤールの最期までわざわざ描写するのはどういった粘着なのかと思っていたが、グルヌイユに関わったが為に不本意な最期を遂げたということを伝えたいのかな。『母親は赤子を見捨てて行方知れず、赤子は教会に拾われ乳母に育てられました』でもいいのにわざわざ嬰児殺しで斬首刑にしたのもこのためなのかもしれない。

そしてすぐに悪魔が憑いていると気づいて手放した最初の乳母や神父のその後が特に描写されていないのは、正体に気がつき深く関わらずに済んだということ?侯爵と同時に出てきたリュミネもその後描かれていなかったような(描かれているかもしれない)。

 

生まれつき良心が欠けており、生育環境や18世紀当時の倫理観のせいでもあるのだが殺人を厭わないサイコパスがその驚異の生命力まで供えていたために何度もの危機を生き延びてしまい25人殺人が起こってしまったことがちょっとやっぱり寂しい。あと冤罪で死刑になったドリュオーかわいそう。夫を喪った工場のマダムや、娘を殺されたのに匂いに翻弄されてグルヌイユを息子にしようとした(そして当然のごとく逃げられた)リシも、死んでいないだけで相当ダメージが大きい。グルヌイユが関わった所為で。

そしてグルヌイユの最期も呆気ないしよく分からない。パリに戻って死のうという一文があり死んだのもパリなのであれは自殺でいいんだよね。はあ。